「きさまは何をしている!!」
リヒャルトの怒号が船室に響いた。
事の始まりは、二人が船に戻ってからだった。
先ほど小島でラフティングをしていたのもあって、リヒャルトはいち早くシャワーを浴びた。
今夜を過ごすことになるこの部屋は、ホテルのスイートルームと変わらないほどの豪奢なつくりになっており、シャワーの隣にジャグジーまでついていた。
だが、川での汚れが気になっていたリヒャルトはシャワーを浴びることを優先し、ジャグジーには後でじっくり楽しもうと考えていたのだったのだが・・・
リヒャルトの次にシャワーに入ったRQがなかなか出てこない。
おかしく思って脱衣所までやってきたリヒャルトが見たものは・・・
泡、泡、泡・・。
シャワー&ジャグジーの大きさは1室くらいあったと思うが、それがすべて泡で埋め尽くされている!泡の高さはリヒャルトの腰くらいに迫っていた。
「RQ!!」
なにか悪い異変が起こったと思って、泡の中に飛び込んだリヒャルトが見たものは、泡から頭だけ出してニヤニヤしているRQの姿だった。
「シャボン入れてシャワー出しながらジャグジーに入ってたら、こんなことになっちまってた」
言いながら、空になったバスバブルの容器をほおリ投げる。
瞬く間に・・・その場にはリヒャルトの怒鳴り声が鳴り響いたのである。
「怒ることないだろ~こんなのめったに出来ないわけだし」
「常識という言葉を知っているのか!今すぐこんなものっ・・・!」
シャワーで洗い流そうと一歩踏み出したリヒャルトの腕を、RQがさっと掴む。
「楽しめば!」
「ッ・・・!」
泡の中で、RQの手が動いてリヒャルトの着ているバスローブをスルリと脱がした。
「、あ、まて・・」
「いいじゃん。どうせ見えないし、恥ずかしくないだろ」
「そういう問題じゃ・・・わっ!」
リヒャルトの頬に泡の塊が飛んできた。
目の前ではRQが悪戯っぽい笑みを浮かべている。
「クッソッ!!おまえなんかに負けてなるものか!」
リヒャルトの泡・・・というより掌がRQの顎をとらえ、身体ごと飛ばす。
RQはジャグジーに沈んだが、すぐに体制を建て直し
「おもしれぇ!」
とリヒャルトを抱えて、ジャグジーへ入れた。
「もう、水を怖がる以前の私だと思うな!!」
さっきの川では溺れかけてたじゃん・・・と言う間に、RQは泡しぶきを食らった。
「おまえなんか沈めてやる!!」
そう言うリヒャルトは両手に泡の塊を持っている。
RQと同じような悪戯っぽい笑みが浮かべて・・・。
それから・・・十数分、シャワー&ジャグジー室からは二人の笑い声と悲鳴とが聞こえてきた。
「あーあ、泡消えてきちゃった」
「まだ、おまえとの勝負はついていないというのに、残念だ」
二人は消え行く泡を見ながら、静かにジャグジーに漬かっていた。
「そういえば、出会ったばかりの頃に勝負をしたよな?」
「まだ勝負はついていないぞ」
「そうか、まだ続いていたんだな・・・」
感慨深そうに、RQは目を細める。
二人が始めて出会ったとき、RQがリヒャルトに勝負を持ちかけたのだった。
もちろん、リヒャルトの強さにも惹かれていたし、人物的にも惹かれていた。
結果は・・・おそらくリヒャルトの勝ちだと思う。
RQは一度も完勝したことがなかった。
いいところまで追い詰めても、リヒャルトの経験から得た勘には到底かなわなかった。
「まだ、あんたにはかなわないかもしれねぇが、オレは諦めないぞ」
「簡単に諦められては困る。おまえとの勝負はすべて把握している。私も負けるわけにはいかない」
「ところで、オレは・・・初めてのときから今までのあんたとのSEXを全部覚えているんだが」
「・・・な、な・・・突然何をっ!!」
リヒャルトはさっと顔をそらす。
「回数までは数えたことないんだけどさ、全部、覚えてる」
「私だって、回数までは数えたことなどないが・・・全部覚えている・・・」
「じゃあ、今夜はその記憶に一つ新しい記憶が刻まれるんだな」
「そ、それは・・・まぁ・・」
リヒャルトは、顔を半分水に漬けたままブクブクしながら答えた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「腕を上げて」
RQは自分の上に跨るリヒャルトの腕を、頭の後ろで組ませた。
「そう・・そのまま」
がら空きになった脇から胸を線をたどるように、指でなぞる。
「あ!」
リヒャルトの身体がピクリと震える。
「くすぐったい・・・」
「綺麗だ」
「・・・恥ずかしい・・・」
「すごく、綺麗だ」
硬く立ち上がった先端を舌で掬い上げる。
「ン・・・やぁ!」
甘い喘ぎを聞きながら、RQの手はリヒャルトの右半身の傷跡をたどる。
窓からは、月と星の光。
それが時折、波間をくすぐっている。
ベッドの上の二人の身体をさざなみのような月光が照らした。
機械が埋め込まれているリヒャルトの半身は、人工的な光を放っている。
「リヒャルト、綺麗だ」
「う・・あ」
RQはいつもそう言って、リヒャルトの傷跡を舌でたどる。
リヒャルトの腕をそっと降ろして、RQはその頬に唇を這わせた。
「好きだ」
「・・・」
リヒャルトは、RQの顔を両手で包み込んだ。
そうして、答えるように何度も口付ける。
「ん・・」
口付けはそのまま首筋へ・・・肩へと移動した。
「っ!」
いつも、リヒャルトの愛撫は噛み付くほど強い。RQの身体はすぐに赤い痕だらけになってしまう。しかし、その愛撫は下肢に向かうにつれて艶かしく変わっていく。
舌先で拭うように、ゆったりと。
性器を口に含んだまま、リヒャルトはRQを見上げた。
「んア・・・!」
「どこがイイ?」
口を離して舐めあげる。
「全部・・かな」
「それではわからない!」
ふてくされた笑みを浮かべながら、指を絡ませる。
「リヒャルト・・・こっち来いよ」
「?」
RQはリヒャルトを四つん這いにし、後ろを向けさせた。
「こっちに突き出して」
「・・・はずかしい・・・」
白い尻がRQの眼前にある。
RQは、枕元から小さなケースを取り出して蓋を開けると、その中のジェルを指にとった。
クチュ・・・と音がして、リヒャルトの敏感な部分に塗りつける。
「あ・・・や・ッ・・」
言葉とは裏腹に、腰を突き出す。
「すごい、濡れててやらしい」
「ん・・見るな」
RQは自分の指にもジェルをたっぷりと塗りつけると、リヒャルトのそこにゆっくりと差し入れた。
「ア・・・んん、ああ・・・」
「ほぐす必要なさそうなほど、ぐちょぐちょ・・」
「あ、すごい・・・中熱い・・ジンジンする。いつものと違う・・・っ」
「変えてみたんだ。よかったらこっちにしようかと思って」
リヒャルトが手を伸ばしたので、RQはジェルを手渡す。
リヒャルトはそれをとり、目の前のRQ自身に塗りつけた。
「うわっ・・・すげっ・・これ!」
「奥・・・熱い・・・もう早く」
「ちょい待って」
「?」
RQは手を伸ばすと、リヒャルトにジェルを渡すように言った。
再びそれを手にしたRQは、今度は、リヒャルトの性器に塗りつけた。
しかも、かなり大雑把にべっとりと・・。
「う・・・」
「この状態で、突っ込んだらどうなると思う?」
「う、う・・い、いやだ。怖い!」
”怖い”という言葉がリヒャルトの口から漏れたのは初めてだった。
「オレだって怖いさ。あんたより先にイクかも!」
「今だって・・こんなに・・・。早く!!・・・し・・て・・・おねが・・・」
泣きながら懇願するリヒャルトの腰を高く上げて、RQは自身を突き入れた。
「ア・・アーク、たくさん・・・もっと」
「そんなに動いたら・・・イっちまうだろ」
そんなことを言いながら、RQはリヒャルトの身体を後ろから抱えあげて、激しく叩きつける。
「ア・・・、アナル壊れちゃう!!もっと、・・・して!!」
リヒャルトは顔面を濡らしながら、めちゃめちゃに乱れた。
RQはそんなリヒャルトの身体を繋がったまま反転させて、正面を向かせた。
「ひっ・・・み、見ないで・・・」
「たくさん見たい。気持ちいいリヒャルトをたくさん見たい」
「い、いやだ・・やめ・・」
リヒャルトは両手で自分の顔を覆う。
しかし、先ほどのジェルでべたべたに濡らされたそれを激しく扱かれると、身体を揺らして高い悲鳴を上げた。
「や、やめないで・・・もっと・・・突いて!」
「言われなくても」
抱きしめるように・・・RQはリヒャルトを抱いた。
「アーク、すごくよくて・・・怖い・・怖い・・・」
「こんなリヒャルト知ってるのオレだけだから・・大丈夫」
「うう・・・はずかしいっ・・・。イイッっ・・・」
「イイ・・すごく。リヒャルト、おまえの中、すごくイイよ」
「アーク、・・・アーク・・・おまえの・・すごくイイ・・・すごい・・気持ちいい」
二人は、行為からは信じられないくらい静かなキスをした。
お互いの吐息だけが聞こえるような静かな優しいキスを。
「あそこ・・・トロトロでもう・・よくわからな・・・」
「中でイきたい。リヒャルトの中で」
「おまえの、欲し・・・い」
RQはリヒャルトが自分の身体に両腕を回したのを感じると、最奥を抉るように突いた。
「アーク・・・あ、出ちゃ・・・う。ああ、ア・・・あ、イクっ!!あああ!!」
「リヒャルト、愛してる・・ん、あっ出るっ!!」
今夜は、RQの耳にもはっきり聞こえた。
「愛してる」
という声が。