リヒャルトが部屋に戻ると、アポロがリナと一緒にソファの上で寝ていた。
二匹はすっかり仲良くなってしまったらしい。
「よかった・・・」
「さぁ、ここからは大人の時間だぜ」
「貴様はまた、どこから沸いてきた?!」
いつの間にか隣にいるRQにぎょっとしながら、リヒャルトはほっと息を吐いた。
「今日は疲れている。もう寝かせてくれないか」
「ああ、オレの腕の中で・・・な」
巨鳥が堕ちた後。
ヘアは拘束されて、すぐに宇宙刑務所へと送り返されることになった。
今度という今度は、無期懲役だ。
カラスのような鳥たちは、戦意を取り戻したSSG隊員たちによって駆逐されるにいたった。
途中から現場を仕切っていたリヒャルトは、最後に
「皆、今回はよくやってくれた」
と言ったのだが、隊員たちは皆、下を向いてしまって気まずかった。
皆、リヒャルトの黒い軍服の下を想像してしまったからなのだが・・・。
こんな騒ぎを引き起こしたJ&M(おもにミラー)は、爽やかに去っていった。
「皆、今日はいい夢を見られるよね!」
という一言を残して。
そうして、コッペリウスは案の定、リヒャルトに呼び出しを食らった。
そして、コンネット・コーネリアスをSSGに呼んではどうかと意外な意見をもらった。
「私はどこにも所属しないよ。さぁ、記憶を消してくれ」
「本当にいいのかい?」
どうせ、また記憶は消えないのだろう。
コンネットには、記憶消去装置は通じない。
「本当に消えてしまってもかまわないさ。楽しいことがあれば、また私はきみを訪ねるだろう」
「・・・世話を焼いてもらいにだろう・・・まったく」
しかたなく、コッペリウスは記憶消去装置をコンネットに向けたのだった。
・・・・・・・・・・・・・
「最近、皆どうしたのかしら?私は第一部隊の人に避けられている感じがするよ」
兎兎は首をかしげた。
「兄上を避けるなんて、許せませんね。いじめはいけません」
潤一が憮然とした表情で言う。
実は、皆、兎兎を避けているわけではなく、あのホログラムが怖かっただけなのだが・・・。
内情を知っているのは一部だけだった。
「ところで、リヒャルトはもう一匹猫を飼ったみたいじゃない。リナちゃんとかいうんでしょ」
「でも、そのリナですが・・・」
「そうか・・・」
コッペリウスから報告を聞いて、リヒャルトは悲しそうに瞼を伏せた。
「でも、しょうがないよ。飼い主が探しているっていうんだからさ」
アポロとリナが二匹そろって不安そうに、こちらを見つめてくる。
「リナ。もとの家に帰ろうな」
「にゃ・・・にゃ・・・」
頷きながらも戸惑うような態度を見せるリナ。
そして、不思議そうな顔のアポロ。
「アポロ、明日リナはもとの家に帰るんだ」
「にゃ!にゃ!!」
嫌々というふうに、アポロは首を振った。
そして、懇願するようにリヒャルトをじっと見る。
「誰でも帰る場所というのがあるんだ。リナにはまた会える」
「にゃーー!!」
アポロは叫んで部屋を飛び出していってしまった。
「あ!」
続いてリナも出て行く。
「あの子たち、本当に仲良くなったんだね。アポロも兄妹がいないから・・・」
「・・・ん、だが、しかたない」
そのあと、二匹の間でどんな話し合いが行われたのかはさだかではない。
しかし、次の日の朝。
二匹はリヒャルトの部屋に戻ってきて、また一緒にソファで寝ていた。
「じゃあ、私が連れて行くよ」
コッペリウスが、リナを抱きかかえようとした。
「いや、私が連れて行く。リナとアポロを、それとあいつを」
「・・・うん」
アポロははじめての車に興味深々といった様子で、後ろの座席を行ったりきたりしている。
リナは落ち着いた様子だ。
やがて、目当ての家の近くに来たとき、リナが顔をパッとあげた。
「さぁ、着いたぞ」
ドアが開いて、若い女性が走り出てきた。
「リナ!」
リナが車のドアから飛び出した。
「やはり、本当の家族がいいんだな」
「リナー!俺たち家族を忘れんなよー!」
助手席からRQが手を振った。
窓からアポロがじっと見つめていた。
答えるように、リナが目を細めた。
「また、遊びに来ような」
RQの膝の上に乗ったアポロは首を伸ばし、初めて出来た友達をいつまでも見つめていた。
| END |
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