先ほどからリヒャルトの様子がおかしい。
そわそわとして、落ち着かない。
「どうしたんだよ?」
「…」
いつもの長官室。
いつもの二人。
しばらくした後、リヒャルトは意を決したように口を開いた。
「この間、テディベアをもらっただろう」
「ああ、あんたの誕生日か」
コクンと頷いて、またそわそわとした様子で、手を開いたり握しめたり…。
RQは、そんなリヒャルトの肩に手を置いた。
「大丈夫か?寒いのか?」
「違う…」
「心配だ」
「うう、違う…寒いわけではない」
また、しばらく口を閉じた後。
「…お返しすべきか」
などと、突然言い始めた。
「あのプレゼント気に食わなかった?」
「そうじゃない!そうではなくて…つまりおまえに」
見てすぐわかるほど、がっかりした表情を見せるRQの腕を咄嗟に掴んで、リヒャルトは首を振った。
「おまえの誕生日はいつなんだ?」
必死そうなリヒャルトに、残念そうに…しかし「秘密」と答えるRQ。
「…無理に聞こうとは思わない。でも、このままでは私の気持ちが済まない。頼む…何か」
「?」
「誕生日プレゼントでなくてもいい。ただ、何か返させてくれ」
「突然、どうしたんだ?」
RQが驚くのも無理はない。
誕生日プレゼントを贈った次の日、リヒャルトは猛烈に怒っていた。
それというのも、プレゼントだけではない、ベッドインという名のオプションが付いていたから…。
だが、今日のリヒャルトはあの日のリヒャルトとは違って、RQに向ける視線が優しい。
「昨日、食堂で第3部隊合同の誕生日パーティーがあったと耳にはさんだ。おまえは、誕生日を公開していないから、誰にも祝ってもらえないだろう?」
「ああ、まぁ」
「だから…」
だから、返してくれるらしい。
RQは、ふと考えて
「じゃあ…」
と言いかけたが
「身体はダメだ!!」
いきなり、リヒャルトが顔を真っ赤にさせてそんな事を言うものだから、RQはプッと吹いた。
「先に言われちゃあな」
「う、うう」
リヒャルトはますます紅潮しながら、気まずそうに視線を反らす。
「ピアス」
「え?」
片耳に手を当てて、RQは5個のピアスのうちの一つを取った。
「ここに、新しいのが欲しい」
「それでいいのか?」
「うん」
嬉しそうに笑うRQを見て、リヒャルトはほっとしたように一息ついた。
「こうやって二人で外に出られるのが、本当に嬉しい」
「そうか」
いつもは、このような状況だとキリキリとしているリヒャルトも、今日はどことなく落ち着いている。
「あそこの店にいいのがあってさ」
そこは、リヒャルトが生まれてから一度もはいった事のないようなゴツゴツしい店だった。
店頭には黒いレザーズボンとシルバーのチェーンがぶら下がっている。
髭顔の厳つい男がディスプレイを直していた。
「よぉ、ひさしぶりだな!」
RQがそいつに声をかけると、
「あら、おひさしぶりん♪」
信じられないような声音で、相手は返してきた。
「あ、彼氏?」
リヒャルトを見て、髭男はウインクを投げかけてくる。
「可愛いわね~こんな可愛い子どこで見つけたのよ?」
「実は、上司なんだ」
RQが満足そうに答える。
「まぁあ~社内恋愛?うらやましい」
「ち、違う!今日は私がこいつに誕生日プレゼントを買ってやるつもりなんだ」
「それって普通に彼氏じゃないの?」
髭男の言葉に顔色を変えるリヒャルトは、しどろもどろになって
「たまたま、こうして二人で街を歩いて…ランチを食べたり、プレゼントを探したり…」
「それは普通にデートでしょ?」
リヒャルトは、苦虫を潰したような顔でブツブツと言った。
RQは、そんな二人の会話を面白そうに聞きながら、ピアスを手にとって比べている。
「早く決めろ」
「デートは、ゆっくりしないとな」
「デートじゃない…」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
買ったピアスをその場で付けて。
「似合う?」
「ああ」
RQが買ったのは矢じりを捩ったゴールドのピアスだった。
「昼も食べ終わったし…」
「帰るぞ」
「もうちょっとだけ!」
RQは足取りも軽く歩いていく。
「しかたないな」
だが、RQの進んでいく方向が怪しくなるにつれて、リヒャルトの足取りは重くなっていった。
「そんな方へ行くな。教育上に悪い!」
「何言ってんだ?オレは大人だぜ?」
ニヤニヤしながら、RQは強くリヒャルトの手を引いた。
「離せ!バカっ!!」
「オレにもお返しさせてくれよ」
「?」
「ちょっと前に、あんたがオレを誘ってくれただろ?」
「え?」
「“これは私のモノだ!”って、ホテルにオレを引っ張っていったじゃないか」
「そ、それは…任務のためで…あれは私の部下という意味で…」
ブツブツ言い続けるリヒャルトの手を強く握り、RQはホテルの入り口を開けた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「絶対に入らないぞ!」
ドアの前で、リヒャルトは怒鳴った。
「しょうがねぇだろう。鍵も受け取っちゃったし、あんたもこの手の場所に興味があったみたいだし…オレは、この間の期待にもこたえる義務がある」
言葉の最後で、ニヤリと口角を吊り上げて…RQはリヒャルトを抱きかかえた。
「離せ!バカッ!降ろせ!」
暴れるリヒャルトを抱えたまま、RQはドアを開けた。
「あー!これはいい」
RQの言葉に、リヒャルトが顔を上げると…
ピンクのシルクで出来たシーツが目に止まった。
部屋の中央に大きな丸いベッドがある。
そして、まわりにはスポットライト。
「明るくして、しよ」
「い、いやだ…」
「じゃあ、暗いまま恥ずかしいところだけにライト当てて?」
「もっとやだ!」
RQはリヒャルトを抱えたまま、優しく撫でた。
「ゃ…」
「ここ気持ちいい?」
思わせぶりに行きかう指。
「つねらな・・」
「抓ってほしいの?」
「や!」
RQは、ベッドにリヒャルトを座らせた。
「欲しい。これがプレゼントでなくても…」
青い瞳がリヒャルトを覗き込んでいた。
「こんな…プレゼントなんかするものか」
「じゃあ、お返しはなしでいい?」
ゆっくりと、リヒャルトのシャツを脱がしていく。
「暗く…して」
「少しだけな」
言いながら、RQも服を脱いだ。
身体を大きく引き裂く傷痕を撫で、口付ける。
「んあ…」
「綺麗だ」
RQはリヒャルトを自分の上に跨らせていた。
座ったまま抱きしめ、後ろに手を回し、軽く尻を抓る。
「あっ!抓らないって約束…」
「だって、リヒャルトが感じるから~」
「抓るの…嫌いだ」
「本当?」
そういいながら、また。
「ひっ!!やめ…」
「ここも反応してる。ほら」
RQは、リヒャルトの胸の突起を摘みあげて、
「ほら、こんなに起ってる」
「っ…やだ・・・!」
わざと音を立てて舐め上げた。
ぴちゃぴちゃとした音の中に、高い喘ぎが混ざる。
RQはリヒャルトを引き寄せて、耳たぶを軽く噛んだ。
「耳も好きだよな」
「んっんん」
「可愛い声。もっと聴かせて」
「あっ…は・・ん」
RQに囁かれながら吐息を受けるたびにリヒャルトの身体がピクンと跳ねた。
「ん?」
RQの耳元に、リヒャルトの喘ぎと共に舌が入ってきた。
「お…返し・・」
擦れた様な小さな声。
リヒャルトは買ったばかりのピアスを咥え軽く引っ張りながら、その耳に刺激を与える。
「リヒャルト…」
囁かれると、怯えたように身体を引いた。
「好きだ」
「…」
視線を反らすその顔を捉えて、「舌出して」とRQが促し、すかさず、リヒャルトの唇を奪った。
「んふぅ…」
「んん…」
お互いに舌を絡ませながら、手は下部を刺激しあっている。
「リヒャルトのって…」
「んっ」
「前も後ろも真っ白だよな。先っぽ以外は…」
「は・・ずかし…」
「こんなにお漏らししているから?」
RQの指がリヒャルト自身を弾くと、水滴が飛び散った。
「やめ…」
絡めた舌を放し、リヒャルトはRQを押し返す。
RQの手は、リヒャルトの微かな茂みを撫でた。
「こんなにエッチなリヒャルトの×××、誰も知らないだろ?」
「おねが…もう、やめ…はずかし…い」
RQの手が、違う方向に伸びた-…と思うと、リヒャルトのそこが照らし出された。
「なっ!!」
「だって、今日のリヒャルトめちゃくちゃエッチなんだもん。もっとじっくり見たくてさ」
「消して…!」
悲鳴をあげるリヒャルトのそれを指で弄びながら、
「また漏らしてる…ピンク色の先っぽすっごく濡れてる」
「あ、…見るな・・…!」
「ここ、舐めてもいい?」
「ダメッ!!」
泣き叫ぶリヒャルトを押し倒して、RQはその足を広げさせ、ピンと起っているそれを口に含んだ。
「やっ!!おかしくなるっ・・・」
「意外とこれ、したことなかったよな。気持ちいい?」
「やめっ…めぇて!!」
身体を悶えさせて、リヒャルトは快感から逃げようと喘いだ。
ポンと弾みをつけて口を離し、舌で棒を舐め上げながら、RQは後ろの部分を指で押した。
「くすくす…雪玉みたい。我慢してただろ?パンパンじゃん。弾けそう」
「そこ…押しちゃダメ!出ちゃ…!!」
「今日のあんた、ほんと可愛いな。奥の穴まで真っ白…明るいからよく見える」
RQが指でその道を辿ると、リヒャルトは腰を上げた。
「・・ゃく」
「する前に、オレもお返しして欲しい」
ゆっくりと身体を起こしながら、RQは快楽に震えるリヒャルトに言った。
「オレの舐めて。いつも下の口がしてるみたいに…上の口でも美味しそうにしゃぶって。…ね?」
「できな…」
「きっと、リヒャルトの味がするから、平気」
RQの言葉にリヒャルトは顔を覆った。
「してるところ…見ないでくれ」
「見たい…あんたの口がオレの咥えてるところ」
仕方なさそうに…リヒャルトは身体を起こしてRQのそれを確認すると、キュと目を閉じた。
「恥ずかしい?オレの」
「…」
「あんたのと、色も形も大きさも少しづつ違うだろ。よく見て」
だが、リヒャルトは目を閉じたまま、それに手を伸ばし、怯えるように軽く触れた。
「あ、つい…」
「リヒャルトもすごく熱かった」
ためらいがちに、顔を近づけておずおずと口をつける。
「ん…」
RQの声を聴くと、リヒャルトは身体をピクリと震えさせた。
「リヒャルト…あんたの口が命令を飛ばす時、この口がオレの×××咥えたんだって…思い出してもいい?」
「ダメ・・」
少しだけ口を開いて…先端を含む。
「…しょっぱい」
「リヒャルトがあんまりエッチだったから、漏らしちゃったんだ。笑うなよ」
「…まずい」
「そんなことないだろ?あんたのあそこの味」
「…違う」
「前に教えた気持ちいいところ、舐めて」
口を先端から放して、リヒャルトの舌が、筋の部分を舐め上げていく。
「う・・ふぅ・・・すげぇ…誰かに習ったのか?」
「…こんな事…誰にもしない」
「オレ以外には…だろ」
すると、リヒャルトはRQの後ろの部分を握った。
「…さっきのお返し」
「っ・・!きついお返しだな。あんたの顔にぶちまけるところだったぜ」
RQの腕がリヒャルトを無理やり起き上がらせ、自らの上に乗せた。
「そんないきなりっ・・・いっ…!?」
自らの重みが、リヒャルトを一気に貫く。
「ごめん、今回は、“早く”したいのはオレのほうだ」
「ん、ぁ!!」
逃れるためなのか、本能的なものか…リヒャルトはゆっくりと腰を動かし始めた。
「リヒャルト・・綺麗だ。今日…すごいイイ」
「ぁ・・!ふと…ぃ」
「あんたの上の口が気持ちよすぎたせいで、爆発寸前だから…な!」
そのまま、駆け抜けるように身体を動かし続ける。
「あ、ひぃ、ひぃぃ!はっ!!」
リヒャルトの手が我慢し切れない様子で、忙しなく自身を刺激している。
「すげっ…もう…!」
「後ろ…アナ…、壊れちゃ…」
壊れるほど…互いの身体をぶつけ合う。
「はっ!リヒャルトっ!!」
「あっん!イクっ!アーク・・イク!イク!たくさん…出…」
「ぐっ!!」
どちらが先に達したのかは、わからない。
二人は、そのまま倒れるようにベッドに身を預けた。
「愛しくて、愛しくてたまらない…」
RQは、まだ気だるそうにしているリヒャルトの顔の傷痕に指を這わせている。
「嫌そうな顔をした」
リヒャルトは不貞腐れたように顔を歪ませているが、RQの手を払う気力はないらしい。
「嫌そうな顔?」
「いつもは、楽しそうだ。おまえは。なのに、今日は最後に嫌そうな顔をした」
「嫌そうな顔なんかしてないぜ?」
「最後…」
RQは先ほどの事を思い出したが、フィニッシュに自分がどんな顔をしたのかなど、わからない。
「辛そうだった。嫌そうだった」
リヒャルトは、ポツリと言った。
「いや・・辛かったが、嫌どころか…」
…リヒャルトにとっては、辛そう=嫌そうに見えたんだろう。
そう思って、RQはリヒャルトの身体を包み込んだ。
「嫌なもんか。…でも、あんたより先にイッたらかっこ悪いからさ、我慢してたんだ」
「…」
「?」
リヒャルトは、じっと考え込むような顔付きで…よく見ると頬が真っ赤になっている。
「もういい。離せ」
「ひょっとして、自分があまりにエッチだったから嫌われたんじゃ、とか思ったのか?」
「うるさい!~~~っ…!」
大きな声を出したせいで、身体に受けた刺激が蘇ったらしい。
「大丈夫か、今夜はここで休んでいこう」
「外泊許可がないからダメだ。私は帰る!」
プイッと向こうを向いてしまうリヒャルトにRQの腕が伸びた。
「いっ!!」
苦しいほど、きつく抱きしめられてリヒャルトは声をあげそうになった。
「帰さない」
「バカを言うな、私は!」
「あんたがどんなに抵抗しても今夜は帰さねぇ、絶対にだ」
その声は思いがけず、真剣なもので…。
リヒャルトは、発するべき言葉を失ってしまった。
「好きだ。リヒャルトが存在しているってだけで、この世のものが全て愛おしく思えるほど、オレはリヒャルトが好きなんだ」
「ア・・・」
「誕生日プレゼントありがとう。嬉しかった」
「…私は」
「今夜は、ずっと抱いていたい。オレは任務中は絶対に死なない自信があるが、今、あんたと離されたら死ぬかもしれない…」
「…甘ったれるな、バカ…」
リヒャルトはコツンとピンク色の頭を小突くと、
「おまえがここで死んだら困るから、しばらく一緒にいてやる」
と言った。
数日後。
「ねぇ、RQ」
RQが下を見ると、小さな占い師がこちらを精一杯見上げていた。
「最近ピアス変えたの?」
「ああ、プレゼントなんだ」
「それは羨ましいね」
「おまえも穴開けたら?」
「私、一度膿んじゃってね。難しいの。でも、きみも耳元が赤くなってるよ?」
「ん?」
「コッペリウスに見てもらったほうがいいんじゃないかなぁ?噂によると耳たぶがなくなってしまう人もいるらしいからね!」
「いや、これは…」
そんな会話をしていると、向こうからリヒャルトが歩いてきた。
「耳がどうした?」
「RQの耳たぶが赤く…あれ?」
兎兎がリヒャルトに近づいていく。
「ああ、そういうことね」
「?」
「心配した私がバカだったよ。大丈夫だね!」
「?」
ヒラヒラと手を振りながら、兎兎は去っていった。
「なんなんだ?」
そこへ…
「耳の甘噛みし合いはほどほどにしてくだサーイね!プ~~~!!」
とコッペリウスが通り過ぎていった。
はっとした様子で、リヒャルトは自らの耳に手を当てる。
「悪い、痕つけちまった」
「な、なんだと!!」
即座に鞭に手が伸びたリヒャルトに、RQは付け加えた。
「ま、お互い様ってところだろ。オレもお返しをもらったしな」
その後、しかたなくリヒャルトは耳に絆創膏をつけたのだが…
「あの長官殿がまさかピアスを?!」
という疑惑が広まり、SSG内にはピアス穴を開け始めるものが急増したという…。