-ぱられるデート2-

また書いてしまいました!
パラレル小説第2弾!!
大学生潤流(♀)ちゃんと、オカルト研究会の先輩、兎兎さん(♂)!!
今回はオカルト研究会に危機がっ!!
さりげなくどこかでみたキャラも登場。
そういうわけでほのぼのラブストーリーです。







私は大学内の掲示板を見て、凍りついた。
そこには、大学内のクラブ・サークル・同好会などに向けた通知が。

ー部員が5名以下のものに関しては、存続を再検討するー

と書かれていたからだ。

私が所属し、私の彼氏(・・・になったんだと思う)兎兎さんが部長を務めている「オカルト研究会」は部員がやっと4人だ。
まさか取り潰されるなんてことは・・・。

私は急いで「オカルト研究会」へ向かった。

そこでは、私の心配もよそに兎兎さんがぼんやりと本を読んでいた。
この人は、大学内で講義を受けている時以外は大概ここにいる。
ランチもここでとっている。

・・・もちろん、私がいる時は二人だけど。

そういう意味では、この部屋は兎兎さんのお部屋のようだった。

その証拠に、兎兎さんは座り心地のいい椅子を持ち込み、本棚と簡易的なティーセットまで持ち込んでいる。
もちろん、部長の特権を使っているわけではなく、他の部員の持ち込みも許可している。
しかし、オカルト研究会にやってくる人は皆、兎兎さんの揺るぎのないリズムに飲まれて、いつの間にか兎兎さんの作り出したこの空間に浸ってしまうのだ。

そのため、兎兎さんはお気に入りの椅子を5つくらい用意した。
本棚は彼の私物だけど、誰でもお気に入りの書籍を入れられる。
だから、本棚は漫画から専門書まで様々なジャンルがひしめいていた。

「おや、潤流さん」
兎兎さんはゆっくりと顔をあげて、「軽く燻したほうじ茶でもどう?」なんて聞いてくる。
ほうじ茶みたいな色の柔らかい瞳がこちらを見て微笑みかけていた。

「それどころじゃないんです!掲示板、見ました?」
「ああ、見たよ」

どこまでものんびりとかまえている兎兎さん。本当に見たんだろうか?

「委員長の・・・えっと、律子さん。あの人も苦労人だから・・・でも、きみは安心してみているといいよ」
「え?!それは何か作戦があるんですか?」
「うーん、頼みこんでみるよ」

ふむふむと言った調子で、兎兎さんは言う。
どうにも頼りない。
もしもの時は、この私が委員長を脅し・・・いえ、きちんと話をつけよう。

私は・・・兎兎さんが大好きだ。
だから、守りたい。兎兎さんの大事なものを守りたい。

「大丈夫だよ」

私が一人で力んでいると、兎兎さんが何ともいえないふんわりとした調子で言った。




夜。

私は自分のベッドで寝れないでいた。
兎兎さんを・・・尊敬して・・・好きになって・・・そうしてお付き合いを始めてんだけど、どうにも彼はぼんやりしていて心配だ。前にスキー場で意外な姿を目にしたが、スリルが好きってのと、現状に強いかは別だと思う。
考えれば考えるほど、私の心は兎兎さん一色になっていく。

ばかだね、私。
あの人のことばかり心配していて。

今まで、まわりの女子に遅れたくなくて付き合った人はいたけど、彼らとはもっと気軽な付き合いだった。こんなに胸がいっぱいになって、イラつくほどあの人のことばかり考えている。

これが本気の恋というなら、

・・・カラオケにでも行って歌おう。

明日、誰か誘い合わせて思いっきり歌おう。

そう思って、私は目を閉じた。
眠れないのはわかっていた。



・・・・・・・・・・


「少々無理なことを言ったとは思うが・・・」

大学の運営委員長である律子は白面の顔に苦渋をにじませた。
黒髪の美女だが、本人は特に自分の容貌を意識するところはないようだ。
何より、女性とは思えない口調と一年中黒のパンツスーツ姿なので、いくら美女でも隙がなさすぎる。それでも、ひそかにファンクラブができているが本人は知らない様子だった。

「きみがそれを実行するなら、私は全力できみに抵抗する」

委員会室を訪れている兎兎が、静かに言う。

二人は、同じ研究室にいる同級生だ。

プライベートでは仲がよいはずだが、今回はお互いに嫌な立場になってしまった。
ちなみに、律子は兎兎を異性と意識することがなく、兎兎も同様だった。

「私とて、すべての部活動を廃止させたいわけではない。大学側の経営状況・・・また理事会がどう判断するかにかかっている」
「きみのことだ。問題は先に自主退場してもらおうと考えているのだろう。私がきみでもそうするさ。でも、私はきみじゃない。何度命令されても返事は否だ」
「・・わかってくれと言っても無駄だな」

交渉は決裂した。
だが、部屋を出るとき、兎兎は手を握り締めた。
律子の性格はよく知っている。

おそらく、理事会からの圧力と思わしくない大学の経営状況を知っての行動だろう。

自分の主張を変えるような人物ではないが、兎兎は明るい希望を見出していた。

つまりは、「逆らってくれるならそれでいい」というなのだろう。

兎兎は、拳をもう一度握りなおした。

勝利は確信した。



・・・・・・・・・・・・・



「今度の部会だけど・・ほら、部活動の存続についてとかいう」
兎兎さんが口を開いた。
オカルト研究会に一瞬緊張が走った。

「部長、大丈夫なんでしょうか」
「・・・」

新しく入った新入生の二人は不安そうだ。
無理もない。

「がんばってみるよ」

いつもと変わらぬ調子で、のほほんと兎兎さんは答える。

「ところで、潤流さん」

突然、名前を呼ばれて背筋がピンと伸びた。

「はい!」
「部会に一緒に参加してくれないかな・・・その・・・私、書記が苦手なんだよ。あとでレポートを出してくれって言われていてね」
「え、ええ」

これは責任重大だ!
もしもの時は、私が兎兎さんのかわりに発言を求められるかもしれない。
私のすべてを総動員して、兎兎さんの役に立たなくてはっ!!

また力む私の肩に手を置いて、兎兎さんは柔らかく微笑んだ。

「大丈夫」


・・・・・・・・・・・


3時からの部会には、大学中の部長たちが集まっていた。

「よぉ!潤流ちゃんじゃないか!」
振り返ると、同じ医学部の先輩がニヤニヤとして立っている。
服装は・・・素肌に白衣。
「ちょ・・ちょっとその格好問題ありますよ!」
「そうか?」
白衣を捲ると下から黒いタンクトップが現れた。

「ん~、少し前までそうだったさ。ただ律子にぶん殴られて、とりあえず着てみた」

ちなみにこの人の名前はアークさんという。
ピンク色の髪のおかしな外国人だ。
よくこの人が・・・うちの大学の医学部、しかも臨床心理学部なんかに入ったと思う。

「あれ、兎兎は?」
「兎兎さんはもう少ししたらくるそうです。あ、律子さん」

律子さんが颯爽と現れた。
アークさんを見て、露骨に嫌な顔を見せる。二人は不仲なのだ。間違いない。
そうして「二人とも早く座れ」と私たちに命令を下した。

その2分後。兎兎さんが小さなノートとシャープペンを1本持参して、ひょっこりと現れた。

「遅れてしまうかと・・ああ、よかった」
「あと20秒で遅刻だ」

容赦ない律子さんの声を聞きながら、兎兎さんは頭をかきかき席に着いた。

「では、部会を始めます」
委員会の野田くんが開会を宣言した。

「ここに集まってもらったのは言うまでもない。今後の部活動についてだ」

「勝手につぶされるなんてかなわねぇぞ!」
「そうだそうだ!運営委員の都合だろうが!」

律子さんに対して容赦ない非難が飛ぶ。

「5人以上部員を保っている部は、今後も存続を認められる。4人以下のものに関しては部活動そのものを再検討してもらう。以上が理事会と運営委員との話し合いで決定した」
「横暴だ!」
「なんのための部活動だよ!」
律子さんは、まわりの非難に眉一つ動かさずに補足事項を淡々と述べていった。


「大方、理事会に圧力をかけられたんだろう。あれでもギリギリだったと思うぜ」
私の隣に座るアークさんが小声で呟いた。
「ギリギリって?」
「本当は、昨今の経営状態から考えると、部活動に経費を使っている場合じゃないってことさ」
「じゃあ・・・もしかして部活動そのものが否定されるところだったんですか?!」
「本来なら、学業の二の次の扱いだからな。特にオレの”阿呆麺ズ部”なんか、格闘技見てラーメン食うだけの部だぜ?大学の売りになるかよ」
こっそりそう言って、アークさんはニヤリとした。

たしかに・・・。
よっぽどスポーツで有名とかじゃないと、部活動って必要じゃないのかもしれない。

「大学で勉強だけしてろって言うんじゃ、なんの楽しみもないだろう!」
「部活の人間関係から就職に繋げたりとか、大学側はそこんとこ考えないの?」
「今じゃ部活動なんて古いとか思われてんじゃねぇの」

まわりから次々に声があがるが、議論へ結びつくものはない。

「私も、大学生活で部活動は実りが多いと思います。こう言った人間同士の交わりを築けるのは学生時代だけなのだから、それぞれ得るものも多いと思う。それを予算の都合で取り潰すのは強引すぎます」

ついつい私も発言してしまった。律子さんの立場もわかる。精一杯努力してくれたのもわかる。
でも、私にとって大事なオカルト研究会が消滅するのは絶対に阻止したい。

「ちょっと・・・いいかな」
兎兎さんが発言をしたのは、その直後だった。
おずおずと手を上げる兎兎さんを皆が一瞬注目した。

「えっと、立って発言したほうが??」
「着席したままでいい」

律子さんは、中腰の兎兎さんに着席を促し、「どうぞ」と言った。

「まず、存続かどうかの前に、大学の経営を圧迫している部活動の予算についての資料はありますか?」
「こちらへ」
律子さんに呼ばれた委員会の人がPCの画面をスクリーンに映し出す。

各部の部費が一覧になっている。

「たとえば、うちのオカルト研究会ですが・・・」
兎兎さんは、オカルト研究会の予算表を棒で指し示して見せた。
あ、あれシャープペンじゃなくて指し棒だったんだ。今更そんなことに気づいた。
「うちは、年間25万予算を組んでいます。その中で、この合宿費・・」

え?!
年間25万?!
オカルト研究会ってそんなに予算取ってたの!!

知らなかった。

驚く私を見ずに、兎兎さんは話を進めていく。

「合宿費の8万を削る」
「予算を縮小するということか」
「はい。ただ、部室だけは荷物を置く場所が必要なのでどうしても譲れません。
部室なら・・・お金はかからない。そうでしょう?」
「そうだな」
「予算が今回の問題点なら、そこを仕切りなおせばいいだけです。部活動そのものを否定することも潰す事も無意味かと思うのです」

まわりの人たちは、黙って兎兎さんの言葉を聴いている。

「私も予算を縮小することは検討した。だが、そうなると文化部と運動部での対応が違ってきてしまう。すべての部を同じ割合で減らすのは不可能だ」
と、律子さん。

たしか、うちの大学の野球部とラグビー部は全国的にも有名なんだっけ。
そこから予算を削れるわけがない。
理事会が弱小部を削ろうとしたのも、きっとそれが原因だから。

すると、兎兎さんは優しく微笑んだ。

「もちろん、予算の縮小には協力してもらう」
「うちの合宿費がなくなったら、どうなると思ってるんだ!」
ラグビー部の主将が怒鳴った。
体育会系はこれだから・・・私は好みじゃない。
だがしかし、兎兎さんは微動だにしなかった。
そうして口を開いた。

「許される範囲で、お願いします」
ぺコリと頭を下げる。
ふん!当然だ。とばかりにラグビー部の主将が胸を張った。

本当に傲慢な奴!

あんな奴に頭を下げている兎兎さんにイライラしつつも、私は何も言えないでいた。

「だから、私たち文化部で大幅な予算の縮小をしなければなりません。運動部はこの大学の部活動の存続に直接関わってくるのです。存在の意義が危ぶまれるような方法をとるべきではない。だから、文化部の皆さんで協力し合わなければならないのです。お願いします」
そう言って、兎兎さんはまた頭を下げた。

「ま、そりゃそうだ」
「どこ削れるかな?」

文化部の部長たちはこそこそとし始めた。
まさか、ラグビー部や野球部などと対等に張り合う気はない。
それならば、潰されもせずにこっちの手の中で問題を解決しようと思い立ったらしい。

「我々運動部もできうるかぎり協力しよう。このままでは部活動そのものの危機だ」
野球部の主将が発言をした。
しかたなさそうに、ラグビー部の主将も頷く。

「その意見に私も賛成だ。今日の部会での話し合いを理事会に伝えようと思う。ついては、各部とも来週のこの時間までに予算の提出をしてくれ。他に異論はないか」

最後に律子さんがそう言った。
もちろん、異論など誰からも出なかった。




「やってくれんじゃん!」
部会の後、アークさんが兎兎さんを突いていた。
「大体、きみの部は予算なんてあってないようなものだろう!部室で格闘技見て、ラーメン食べてるだけじゃん」
兎兎さんが反論している。
「しかし、いいとこついたな。文化部の予算ね・・どこだって、あってないようなものじゃないか」
「し~」
アークさんの言葉に兎兎さんは人差し指を立てた。
「いかにも、予算を削られて可哀想な文化部を気取らない限り、この作戦はうまくいかないんだよっ!」

ああ、私は驚き呆れた。
オカルト研究会の予算25万を聞いたことがないわけだ。
なにしろ使ったことがないのだから。

「それにしても、こういう場面を想定して、はちゃめちゃな予算を取っておいてよかったよ。
これで当分どうにかなる」

うん!と頷いて兎兎さんはこちらをむいた。

「潤流さん、ご苦労様。あとで私がレポートをまとめるからノートをコピーさせて」
「あ、はい」

兎兎さんにノートを渡しながら、
「はちゃめちゃな予算を組んだせいでこの事態が発生したのではないのですか?」
と、つい突っ込んでしまう。
「う~ん。法の網っていうかね。危機が訪れない限り、意外とかいくぐれるものなんだよ。実は、オカルト研究会の予算は、私の先輩が送別会でお馬鹿な騒ぎ事を行うためだけに組んだものだからね。その金額をUPさせたのはもちろん私だけどっ!」

・・・絶句。
つまり、兎兎さんは初めから”用途不明金”に近しいものを、先ほどの発言で見事に”がんばって切り詰める予算”に見せかけたのだった。

「おまえって政治家に向いてるかもな」
アークさんが苦笑しながら言う。
「まさか。人の上に立つのは苦手だよ。私は部室さえ奪われなければ、それでよかったんだ」

そこへ、律子さんが歩いてきた。

そして
「まんまとやってくれたな」
と笑う。
「それは、私がまるでいけないことをしたみたいだね」
「違うのか」
そう言い合って、兎兎さんと律子さんはお互いに笑いあった。

「示し合わせてたとか?」
アークさんが首を突っ込む。
「まさか」×2

「まぁ、これでひと段落ついた。あとは私が”いかにも最高の犠牲を払って決定した事項”だと、理事会に伝えればいいわけだ」
「律子さんこそ、政治家向きだよ」
兎兎さんがくすりと笑った。
すると、アークさんが対抗するような姿勢で
「こいつはオレの恋人向きだから!」
と言って、律子さんに目にも留まらぬ速さで往復ビンタを食らっていた。




「はぁ~本当にどうなっちゃうかと思いました」
「私もだよ」
私たちは部室に向かっていた。

「でも、兎兎さん。ちゃんと作戦を立ててうまくやっていたじゃないですか」
「うまくいかない場合もあったから・・・でも、なにがなんでも私は部室だけは守りたかったんだ。あそこは、オカルトを愛する者たちの家だからね。家がなくなるほど悲しいことはないよ」

部室が最終防衛ライン・・・。

だから、兎兎さんはいつだって部室にいるんだ。
誰が来ても、必ず兎兎さんはいる。
ああやって、守っているんだ。

私が、それを指摘すると、兎兎さんは、
「私の居場所だから」
と答えた。


「ところで、律子さんとアークさんってどういう関係なんですか?」
「・・・律子さんに聞いてみたら・・・??」
笑いを堪えながら、兎兎さんは言う。
「え~怖くて聞けませんよ!!」
「はははは!!」

「それにしても、兎兎さんってやっぱり部長なんですね。私がいなくても、きっと、ちゃんと発言していたし」
ちょっと落ち込みながら、今日のことを回想した。
私は兎兎さんの役に立とうと思っていたけれど、何の役にも立てなかったじゃない。
兎兎さんのこと、オカルト部のこと、眠れないほど考えていたけれど、私は無力だった。

「私は、一人だと何もできないから、潤流さんについてきてもらったんだよ。隣にいてくれるだけで安心だったし、それに・・・」
「それに?」
「潤流さんの前ではかっこ悪いところは見せられないから、私は」

兎兎さんは照れくさそうな顔で言うけれど、私は胸が熱くなった。

「私にはお父さんがいないし、男の兄弟もいないけれど、兎兎さんってお父さんというかお兄さんみたいだなって・・・変な意味じゃないです!私は兎兎さんが恋愛的に好きですし、その・・・本当に変な意味じゃないんだけど、守られているみたいな不思議な感じ。こういうの初めてだから」

私の言葉にきょとんとしていた兎兎さんだったが、すぐに穏やかな顔に戻った。

「私だって、潤流さんを家族のように思っているよ。へ、変な意味じゃないけどね。私だって、本当にきみを守りたいと・・・思っているから」

そう言って、軽く手をつないだ。
その手はじんわりと熱を持っていて熱かったけど、とても心地よかった。


・・・

次の日。
部室に兎兎さんがいなかった。

「実は熱が出てしまって・・・」

あらら・・・。
私はあの時の兎兎さんの手の熱さを思い出しながら、まだ誰も来ない部室の椅子に座った。

今日は、私が兎兎さんのかわり。
あの人がいつもしているように、部室を守るのだと思いながら。


続く???




続くとかいって、続かないっ!!とかいって、前も続いたじゃないか、パラレル小説。

今回は律子さん、アークさん登場。

私の中では律子さんのスク水姿が見たくてたまらない。
大学生なのにスク水!・・・ププっ。
たぶんすごい美人なのに、貧乳な律子さん。

ところで、潤流ちゃんと兎兎の関係は発展するのでしょうか?
ほのぼのだから、このくらいでいいような気がしますが。
今回は、兎兎さんの黒いところが見隠れしました。
まぁ兄上も本気を出せば、こんなもんです!!
しかし、やはり残念なダメンズで終わってしまった。
    END